企業の存在意義に着目したパーパス経営の進め方について、シリーズでお伝えしていこうと思います。
今回は第1回として、なぜ昨今「パーパス」や「企業の存在意義」に注目が集まっているのか、その背景を考えていきたいと思います。
第2回 企業の「存在意義」「パーパス」とは
第3回 企業の存在意義・パーパスを再構築するプロセス
第4回 企業と商品のあるべき姿を共有する方法
昨今、企業の「パーパス」、「存在意義」という言葉をよく耳にします。
先日も日経新聞で「志を探して 御社の存在意義 何ですか」といったタイトルの記事を見かけました。
では、なぜ今、会社の存在意義やパーパスがテーマになっているのか、その点について考えていきたいと思います。
「御社の存在意義は何ですか?」
という質問に「利益の追求です」と答える経営者がかつては多かったことを思い起こされます。
その時代(おそらく20年程前まで)の多く経営者の価値観は、「利益の追求こそが企業の存在価値」だったのだと思います。
企業に従事する社会人もまた、その考えに違和感を持つことはなく、むしろ「企業は利益を追求するために存在していること」を当たり前のこととして受け止めていました。
そのため、経営者の方や、企業に勤務されている方に、会社のビジョンを尋ねると「売上でトップシェアになることです」と答えられる場面が多かったことも頷けます。
昨今、そういったかつての価値観に共感し、入社を希望する若い人は少数派になってきました。
つまり、「企業の存在意義を利益の追求」としていた時代は、過去のこととなってしまったという事です。
ここからは、改めて企業のもつ多面的な側面から、いまなぜパーパスなのか。
そして、企業経営に求められる価値観の変化とはどういうものなのかを見ていきたいと思います。
企業に大きく2つの側面があります。
一つは「社会の一員としての存在」。
そしてもう一つが「社員(従業員)の働き場としての存在」です。
この2つの側面に、昨今大きな期待と変化が求められています。
1.社会の一員としての会社に求められる期待と変化
昨今、企業には様々な対応が求められています。
例えば、それはサステナビリティ、SDGs達成への取組み、DX対応、少子高齢化への対策などです。
これらは、企業の社会的責任を増していく要因と言えます。
また、社会を豊かにしていくために企業に期待していることとも言えます。
そうした社会的責任を担う存在としての企業の存在意義が問われていると言えます。
云わば、外圧による企業の存在意義の明確化です。
2.社員(従業員)の働き場としての会社に求められる期待と変化
一方、社内に目を向けると、そこにも様々な対応が求められます。
いわゆる働き方改革から始まり、テレワークへの対応などです。
コロナの影響を受け、多くの企業でリポートワークを推進した結果、これまでは会社に出社して仕事することが当たり前になって人たちが「新たな働き方」に目覚め、そうした状況から、「この会社で働く必然性」に疑問を持つ人たちが増えたきたのも事実です。
また、市場における競合他社との競争で失った、「自社の独自性や独自価値」を再発見する企業も増えています。
つまり、社内には、働き方改革、テレワーク対応、(たてまえではない)ホンネの企業理念、独自価値の再構築などを求める声が増してきている、というのも昨今の企業の状況です。
これらは、企業の社内的存在意義を希求する声と言えます。
企業は、社会の一員としての側面と、社員の働き場としての側面を持ち合わせた存在として、社会的存在意義と社内的存在意義をどう統合し定義付け、それを表明していくのか。
さらに、それをどう具体化していくのかが、いま強く求められています。
これは、かつての「企業は利益を追求する存在」から、企業が「社会や地球環境を持続可能なものにする存在」であり、「そこで働く人、その企業と関わる多く人々を豊かにする存在」への大きな転換が求められています。
いま、多くの企業で事業活動の中心にいる人たちが「ミレニアル世代」と言われる、1980年代半ばから2003年の間に生まれた世代になっています。
ミレニアル世代の価値観の特徴として、以下の4点が挙げられます。
・物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める
・より社会貢献性の高い仕事に興味がある
・仲間とのつながりを大事にする
・情報リテラシーが高い
特に注目したいのは、「精神的な豊かさ」「社会貢献性の高い仕事」を求める価値観です。
これは、企業の存在意義を明確にすることや、自社がより社会貢献性の高い企業であってほしいという欲求を生み、それが業務モチベーションの源泉になることが伺えます。
これから入社してくる「Z世代」もまた、同様かそれ以上にこうした価値観を大事にする世代です。
そうした世代の価値観を踏まえても、いまなぜパーパスや企業の存在価値を明らかにしようとする動きが多くの企業で始まっていることが頷けます。
ここまで、昨今なぜ企業の存在意義やパーパスに注目され、その表明に取り組む企業が増えているのか、その背景について考えてきました。
今後は、以下のテーマでパーパスにフォーカスした経営戦略について記事を掲載していきます。こちらも参考にしてみてください。
第2回 企業の「存在意義」「パーパス」とは
第3回 企業の存在意義・パーパスを再構築するプロセス
第4回 企業と商品のあるべき姿を共有する方法
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