企業と事業のあるべき姿を共有する方法。パーパスにフォーカスした経営戦略(4)

4回シリーズで掲載しています「パーパスにフォーカスした経営戦略」の今回は第4回になります。
このシリーズ記事ではこれまで、存在意義やパーパスに注目が集まる背景、企業の存在意義とはそもそも何か、存在意義を再構築するプロセスについて、お伝えしてきました。

そして今回は、企業と商品のあるべき姿を社の内外に共有していくプロセスについて紹介してまいります。

第1回 今、なぜ「企業の存在意義」なのか?
第2回 企業の「存在意義」「パーパス」とは
第3回 企業の存在意義・パーパスを再構築するプロセス

パーパス経営における実態づくり

前回の記事で紹介させていただきましたとおり、パーパス経営においては、企業が掲げる存在意義や将来像の実現に向けた実態づくりが不可欠です。
パーパスやビジョンを表明しただけでは、絵に描いた餅になってしまいます。

表明したパーパスやビジョンを具現化する取組みを進める必要があります。
そうした取組みは、企業のあるべき姿を表現する活動と言えます。

では、企業と商品のあるべき姿を共有するためにはどのような取組みが有効か、紹介してまいります。

企業の存在意義を社内へ共有する取組み

企業のパーパスやビジョンを共有するにあたっては、コンタクトポイントを抽出するところから始めます。

企業と社員とがコミュニケーションできるコンタクトポイントが、社内共有のためのメディアとなります。

イントラネットや社内の掲示板を通じた共有、ブランドブックの制作などが代表的な取組みです。
最近では、ブランディングムービーを制作し、それをイントラネットだけでなく、SNS上に掲載して会社が目指すビジョンやパーパスを伝える企業も増えています。
一見、社外向けの取組みのように見えて、実は社内共有のためにSNSを活用しているケースも見受けられます。

ただ、これらの施策は、会社から社員への一方通行になりがちな取組みと言えます。

そこで、パーパスの再構築に取り組んだプロジェクトメンバーを中心に、少人数のグループ学習会を開催し、全社員と自社の存在意義を再確認し合う企業も増えてきました。

筆者が携わった企業では、10名に満たないプロジェクトメンバーが講師を担ってグループ学習会を全社員参加で実施しました。
社員数500名程度の企業で、1回の参加者が4~5名の学習会でしたので、50回を超える学習会を2ヶ月ほど掛けて続けたという会社もあります。

このように、社員の自分ゴト化を促す社内共有の取組みは地道で労の多い取組みなりますが、一方通行ではない双方向の社内共有を実現できます。

企業と商品のあるべき姿を社外へ共有する取組み

社外との共有においては、誰に共有したいのかを明らかにすることから始めます。
既存顧客、潜在顧客、業界全体、株主、社会全体など、共有する相手は様々です。

それよって、コンタクトポイントが変わってきます。

既存・潜在顧客にあるべき姿を伝える最大のコンタクトポイントは「商品」です。

企業の存在意義を再定義した後に、まず確認したいのは、既存の商品やサービスがパーパスやビジョンに沿ったものになっているかどうかです。

変更を加えることで、より企業のあるべき姿を伝えられるとすれば、商品の改良を進めるのは事業強化上、重要な取組みです。

商品以外にも、商品周辺のサービス(サービスセンター、コールセンターなど)、店舗、自社サイト、会社案内、広報、販促活動、広告などは重要なコンタクトポイントです。
これらを通じて、企業の存在価値やビジョンを一貫性をもって伝えていくことは、パーパス経営を進めていく上で有効です。

SNSを通じた社員の情報発信や、日ごろの言動なども、企業の存在意義を共有するコンタクトポイントとして機能します。
自社の社員としての自覚を促すことも、存在意義やビジョンを共有する社内の取組みの中で行われることが理想です。

表明していることと実態との乖離をできるだけなくしていく努力が、パーパス経営の成功のカギと言えます。

推進に当たっては、様々なところに目配りしながら進められることになります。

パーパスにフォーカスした経営戦略

今回は、企業と商品のあるべき姿を共有する方法を紹介させていただきました。
この記事は全4回のシリーズです。
パーパス経営について、こちらも参考にしてみてください。

第1回 今、なぜ「企業の存在意義」なのか?
第2回 企業の「存在意義」「パーパス」とは
第3回 企業の存在意義・パーパスを再構築するプロセス

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