先日、企業の部長クラスの方と話す機会がありました。
その方は、50歳前後で部員を30人ほど抱える管理職です。
「部内に活気がなく、会社も全体的に元気がなくなってきている感じがするんです。
そうしった状況を打開する方法ってありますか?」
という趣旨のご相談でした。
この企業に関わらず、多くの企業経営者や管理職クラスの方からも同様の声が聞かれます。
「社内から積極的な意見が出てこない」
「なんとなく社内の雰囲気が良くない」
「活気がない」
「挨拶や声がけが少ない」
「社内に笑顔が減った」
その背景に様々な要因が考えられます。
業績が悪かったりすれば、社内に活気がなくなることがあります。
しかし、そのような声を耳にする企業は必ずしも業績が悪いわけでもありません。
しかも「活気のない状況が慢性化している」と言う方もいらっしゃいます。
もし仮に業績が悪いとすれば、尚更、社内の活気を取り戻す必要があります。
人が元気ができない、やる気が出ないといった場合に、体調が悪い場合を除いては、それは「無気力感」の表れといえます。
理想の自分と現実の姿とのギャップが大きくなると「自己矛盾」を感じます。
本来の自分はこうありたいという理想像がありながら、社会や会社からの要望に自分が折れる形で日々の現実に向かっていれば活力は消耗します。
努力を続けられないほどに消耗すれば、「無気力」になります。
それは個人のことだけでなく、会社という複数の人が集まる組織でも同様です。
会社の理想の姿を(暗黙的にも明示的にも)認識しながら、企業活動や業務内容がそれとは大きく異なれば、会社も組織も消耗します。
そうして表れる現象が、「活気のない状況の慢性化」です。
組織の自己矛盾を埋めるプロセスが、社内ブランディング(インターナルブランディング)ということができると思います。
ブランディング業務では1stステップとして、企業や組織の独自価値を明確にし、その組織が目指すべき将来像を「ビジョン」として描くことを行います。
これはある意味でいうと「理想の姿」を設定するプロセスになります。
ほとんどのケースで、このプロセスは社員によるワークショップを行います。
これを社内や組織内で共有するステップが2ndステップです。
この社内共有はインターナルブランディングのプロセスで、最も重要でありながら難しいプロセスになります。
なぜなら、このプロセスは「理想の姿」を一人一人の社員に自分ゴトとして捉えてもらう必要があるからです。
その姿が現実とあまりにかけ離れていれば、受け入れられません。
また、「理想の姿」を押し付けることは、かえって反発を生む可能性があります。
そうなると、尚のこと社内に元気がなくなります。
そうならないために、2ndステップに入る前に、社内にある課題(顕在化されていない課題)をあぶり出すプロセスが必要になります。
これもワークショップで行います。
実はこのプロセスが最も重要で、その会社や組織が本質的に改善しないならない課題が見えてくるのです。
その課題が明確になると、社内共有のプロセスとして準備するもの、その後の社内活動として打つべき施策が見えてきます。
あとは、社員のモチベーションを持続させるための社内活動が3rdステップになります。
このようなプロセスで会社や組織が目指す「理想の姿」を無理のない形で描きそのビジョンを共有することで、目指すゴールに向かって各組織や各社員が動き始めます。
理想の姿の実現に向かって社員が日々の業務に当たる、その「現実の姿」こそが実は「理想の姿」です。
そうなることで、社員がモチベーションを取り戻し、社内に活気が戻ってきます。
組織の「自己矛盾」を解消するプロセスが、社内ブランディング(インターナルブランディング)です。